ピアノの寿命について

ピアノ調律師はお客様から「ピアノの寿命はどれくらいですが?」とよく聞かれます。

結果から言いますと、

これは誰にも分かりません! ピアノを作っていた人にも分かりません。

昔、私が読んだ有名なピアノ調律師が書いた【ピアノ調律アラカルト】という本がありました。その中でピアノの寿命についてこのように書いてありました。

「もし、50年も使われているピアノがあったらそれは一度オーバーホールされているに違いない」と書いてました

そんなことはありません!(ピアノのオーバーホールとは弦とハンマーなどを交換した大掛かり修理の事で、外装を磨いて中を調整しただけではオーバーホールとは言わない)

実際50年以上も現役で使用されているピアノは当然のごとく存在しております。

私の店で50年経過しているピアノも販売しております。

私はピアノの寿命は人間の寿命と同じだと思います。世間で言う人間の寿命とは平均寿命の事です。
人間は皆老衰で死ぬわけではありません。
病気、事故などでなくなることもあります。

ピアノも同じです。

ピアノを酷使して弦やハンマーの交換が必要になったり、タッチや音が悪くて不満になって買い替えることもあります。

私は個人的にピアノの寿命は4種類に分けております。

【その1 機能的寿命】
これはピアノが古すぎたり、害虫や天災などの被害に遭って大金をかけて大掛かりな修理をしないと使えない状態のピアノである事

【その2 部分的寿命】
文字通りピアノ全体の機能ではなく、部分的に傷んでいたり消耗してそうな部分だけ交換するだけで問題なく使用できる事

【その3 音楽的寿命】
機能的、部分的には問題ないけど、音質が悪かったりタッチが悪くなり、音楽的表現がしにくくなった状態になった事

【その4 満足的寿命】
機能的には問題なく、音楽的には問題あっても「自分にはこれでも十分無いよりまし!」と思うか、「金銭的にはゆとりあるからもっとオシャレないい音のするピアノが欲しい」と思うかどうかの事

でもピアノ調律師やピアノ販売店は何としてもピアノを買い替えて欲しいから、ピアノの寿命を短く言うときがあります。(新品のピアノを販売している大手楽器メーカーに勤務している時はやってました💦)

その為購入者がその店が信頼できるお店かどうか見極める事が大事だと思います。

アップライトピアノはオーバーホールするより、いい中古ピアノに買い替えたほうが安いので、あまりお勧めしませんが、
グランドピアノは是非オーバーホールして使う事をお勧めしたいと思います。

 

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