最も印象に残るグランドピアノのオーバーホール

昨年の秋から始めたヤマハグランドピアノC7のオーバーホールがようやく本日完了しました。

福岡市出身のピアノニストT.Mさんからの依頼のピアノを本日試弾して頂き、合格しました。

ピアニストT.Mさんは私はとても印象深い思い出があります。
今から30年前福岡市のあるコンサートホールのロビーで、そこに展示してあった古いスクエアピアノをキョロキョロしながら弾いている少年がいました。

演奏してた曲はなんと!ベートーヴェンのピアノソナタ熱情の第3楽章です。
私はびっくりして「君!何年生?名前教えてくれる?」と尋ねました。
するとその子はハキハキと{はい!T.Mです。小学5年生です。」と答えました。

更に驚く事にその隣にいらっしゃったお母様が「この子、この曲の楽譜見たことないの。」と言われました。

この少年は数々のコンサート活動を各地で行い、瞬く間に福岡のクラッシック音楽界で注目を浴びるようになります。
そして、中学を卒業するとモスクワ音楽院に招かれ、ピアニストへの道に進みました。

現在は大阪芸大の教鞭をとりながらコンサート活動されています。

あの時の少年が今日目の前で私が修理のご依頼を受けたピアノで演奏しているのです。

合格を頂いた瞬間は不思議な気持ちだけがいつまでも残りました。
とても印象深い一日でした。

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