ゴールデンウィークで工房で行った企画のご報告

5月3,4,5,6日の4日間工房で古典調律(ヴェルクマイスター)の試弾を体験して頂きました。

試弾された方々の許可を頂きましたので、それぞれのご感想を掲載させていただきます。

*北九州在住のピアニストS.H様
「本日は本当に貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。感謝しております。」

●442Hzのピアノ
他の2台と比べると、日々馴染みのあるHzが実はこんなにも明るさを含む音であり、ある意味今ここにいることを実感できる現実味を感じさせてくれるピアノでした。

●432Hz ヴェルクマイスター(古典調律)
古い歴史を感じることのできる音。
そこには人間味を感じることに似た感覚があり、不足があっても(平均律ではなくても)実はそれが自然なことなのかもしれないと感じさせてくれる音でした。
時空を超える(過去に戻る)ことができるのかもしれません。

●432Hz グランドピノア
今現在と過去の2つの時間軸を同時に感じることが出来、弾き手の演奏技術や音楽の捉え方、もしくは歌い方などによって味が変わるピアノ。
多様な表現ができる余白や自由を与えてくれる調律でした。

*福岡市在住のピアニスト栗原 繭里様

●古典調律432Hzは、バロックの対旋律を弾くと面白かったです。
対旋律は、その名の通り、旋律(メロディー)で成り立つ曲(メロディーと伴奏ではなく)ですが、それが右手と左手にそれぞれのメロディーで二声の曲もあれば(バッハのインヴェンションなど) 三声(バッハのシンフォニア)もあります。
ピアニストは、それぞれの旋律(=メロディー=声)を生かす弾き方をすることを目標にしていますが、古典調律だと、その表現がやりやすいと思いました。

バロックの対旋律の曲は、苦手意識を持つ人が多いですが、古典調律のピアノで弾いてみることで、1台のピアノから、いろんなカラーの音色がなるので、何かヒントが得られるかも!とワクワクしました。

古典派、ロマン派、近現代のメロディー&伴奏の曲達も、最初は違和感のある和声も、バランスを変え弾き方を変えると違う表情になり、短所が魅力に変わった!と感じる場面もありました。
先人達はもしかしたら、こうやってピアノの特性に合う音色づくりをこだわってやっていたのかなと思う今の世の、指で押せば綺麗な音がでてしまうピアノは、ピアニスト達を退化させてしまっているのかも、と感じました。

先ほどの対旋律の話、
対旋律の曲を弾くと、まさにそれぞれの旋律が違うカラーで歌っているように感じました。

「すばらしいインスピレーションを、今日もありがとうございました。」

*糸島市在住のピアニスト T.A様

●ヴェルクマイスター古典調律によるピアノを始めて弾きました。
ずっと感じていた小さな違和感や疑問が、音楽が持つ得意な魅力を持って溶けていったことが大きな発見でした。

倍音が豊かになり、響が複雑になることで奥行きが生まれ、弾き飛ばされがちなパッセージ(価値あるフレーズにするためにいつも神経を使う・・・?)も存在感あるものとしてスルリと再認識できたのも収穫でした。

ベートーヴェンソナタ熱情第2楽章の冒頭は、調和しない響きに調律師大城さんと笑いました。

古典調律の妙味!ですね。 個人的にはラヴェル作品も楽しかったです。

「2日間も弾かせて頂き・・・ありがとうございました。今回は古典調律の技術でピアノの魅力を教えて下さってありがとうございました。」

*福岡市在住のピアノ教師 T.A様

442Hz と 432Hzの違いは、普段感じることが出来ないので、新鮮でとても興味深かったです!
弾く調整によって合うピアノが異なるので、不思議な感覚でした。

「貴重な体験をありがとうございました」

*調律師(大城)からの感想

今回の企画にあたり私を含めとても有意義な体験ができました。
You Tubeで古典調律での演奏を聞く事は出来たのですが、スピーカーから聞こえてくる音と生音では全く異なります。
それだけではなく、自分で 弾きたい曲を弾いて確かめながらじっくり観察しないと十分感じ取れません。
ピアノは古典調律したピアノだけでなく、平均律で調律したピアノも並べて比較しながらだと特に分かりやすいです。
これは皆さん共通のご意見でした。

始めて古典調律のピアノで演奏を聴いた時は今まで聞いたことのない響きで、何が起きるかかわからない、先の見えない期待感のある音にワクワクしました。
特にバロック音楽は古典調律が主体でしたので、古典調律でしか味わえない音であるのも実感しました。

古典調律に興味ある方々のために始めた企画でしたが、一番楽しんでいたのは私でした。

この度は私の声掛けに心よくご試弾にご来訪頂きました
ピアノニストのS.H様、栗原繭里様、T.A様、ピアノ教師T.A様

お忙しい中ありがとうございました。

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